本日、Qt for Android Automotive 6.9 をリリースしました。このリリースは Qt 6.9 に基づいており、いくつかの機能とバグフィックスが含まれています。機能一覧はQt 6.9 Released のブログ記事をご覧ください。
このリリースはLTS(長期サポート)版ではないため、1つのリリースサイクルのみサポートされます。長期サポート版をご希望の場合は、「Qt 6.8 LTS」をご確認ください。
この記事では、まず Qt for Android Automotive における主な変更点を紹介し、その後 Qt 6.9 全体の主要なニュースを取り上げます。
Qt for Android Automotive 6.9 新機能
Android Automotive OS14
Qt 6.9 では Android Automotive OS 14 をサポートしました。最新の Android Automotive システムでアプリケーションをテスト、デプロイできるようになりました。Android Automotive 14 のサポートは、数週間以内に Qt for Android Automotive 6.8 LTS にもバックポートされる予定です。

Qt 6.9 全体の主な新機能
Qt Graphs でより多くのビジュアライゼーション
3Dグラフの描画機能が強化され、Surface3D における透過表示、3Dスプライン描画のための QSpline3DSeries、チャート・軸・ラベルのカスタマイズオプションが追加されました。Qt Quick 3D の View3D にグラフを簡単に組み込めるようになり、3Dコンテキストでのデータ視覚化がより表現豊かになっています。
2D チャートでの入力処理も簡単にカスタマイズできるようになり、QGraphsView では plotArea を設定することで、グラフが描画される矩形を細かく設定できるようになりました。

Qt Graphs の改善点については、What's New in Qt Graphs 6.9 のブログ記事を参照してください 。
パフォーマンス関連機能
Qtの各リリースでは、全プラットフォームとデバイスで高性能なアプリケーションを構築しやすくすることに注力しています。これにはコードの改善だけでなく、プラットフォームやグラフィックスサブシステムに新たに追加された機能のサポートも含まれます。
最新のCPUアーキテクチャには、高性能コアと高効率コアの両方が含まれており、QThread では処理を実行するCPUコアの種類を指定できるようになりました。
OpenGL プラットフォームで QQuickPaintedItem を使用しているユーザーは、FramebufferObject を再びレンダリングモードとして使用でき、ハードウェアアクセラレーションを活用した命令型の描画が可能です。
OpenGL ES RHI バックエンドでは、マルチサンプリング描画の拡張機能が利用可能になり、Qt Quick および Qt Quick 3D HMI における描画性能が向上します。
Qt Quick の新しい RectangularShadow要素や、Qt Quick 3D におけるシャドウマップ範囲の詳細な制御により、シャドウやグロー効果の使用を最適化し、計算コストの高い処理を回避できます。
順序非依存の透明描画
Qt Quick 3D は順序非依存透明描画(Order Independent Transparency, OIT)に対応し、透明オブジェクトを深度順に手動で並べる必要がなくなりました。これにより、特にオブジェクトが重なり合う場合の表示エラーが解消されます。Qt Graphs でも、半透明のSurfaceグラフの描画にこの技術を既に使用していますが、インスタンシングを含むあらゆるモデルで利用可能です。
Qt 6.9 では、「Weighted Blended」方式をサポートしており、コスト、性能、精度のバランスが取れた手法を提供します。
Qt 6 をブラウザで体験
インストール不要で Qt 6 をブラウザ上で体験できるようになりました。try.qt.io にアクセスするだけで、すぐに試すことができます。

その他の強化点
上記の主な追加機能に加えて、Qtフレームワーク全体で開発効率をさらに高めるためのさまざまな改善が行われています。すべての変更点の詳細については、Qt for Android Automotive の変更ログおよび「What's New in Qt 6.9」のドキュメントをご確認ください。